2日目の鍋は旨い

走る 停まる また走る いつか止まる

発車時刻を計る(その1:出発信号機)

 運行計画調査の基礎,計時について解説する.今回は出発信号機の観察を行う.

 

1.概説

 列車の発車時刻を特定する方法は幾つかあるが,比較的行いやすいのが出発信号機を用いたものである.これは折返し駅等の進行定位ではない信号機に対して有用である.今回は今朝雪が谷大塚駅で採取してきたデータを例に観察と解釈の手順を紹介する.

 まず時刻の整正を行う.その後各列車に対して出発信号機の開通時刻(及びその現示)・始発列車以外の到着時刻・全列車の出発時刻を計測する.欲しいデータを取り終えたら,適当なタイミングで手元の時計と時報のずれを確認する.データを持ち帰ったら,列車の種類によってグループ分けをするなどして適切に解釈を行う.

 

2.実測値

 まず整時を行う.今朝はNTT東日本の提供する117番時報を用い,4時46分丁度に整正した.

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ちなみに発車標は信用しない方がよい.

 

2.1.上り列車(始発)

18運行052列車:開通4時59分44秒・発車5時00分05秒

07運行052列車:開通5時32分12秒・発車5時32分37秒*1

01運行062列車:開通6時01分42秒・発車6時02分05秒

2.2.上り列車(蒲田発)

11運行052列車:進行現示5時03分59秒・到着5時13分45秒・発車5時14分05秒

19運行052列車:注意現示5時15分17秒・到着5時26分06秒・発車5時26分31秒

20運行052列車:注意現示5時33分40秒・到着5時41分29秒・発車5時41分49秒

18運行052列車:注意現示5時42分53秒・到着5時55分16秒・発車5時55分40秒

11運行054列車:進行現示6時04分44秒・到着6時09分07秒・発車6時09分28秒

2.3.下り列車(始発)

19運行051列車:開通4時59分45秒・発車5時00分13秒

28運行061列車:開通6時07分08秒・発車6時07分32秒

2.4.下り列車(五反田発)

20運行051列車:注意現示5時01分42秒・到着5時13分37秒・発車5時14分10秒

18運行051列車:注意現示5時15分29秒・到着5時26分45秒・発車5時27分11秒

11運行051列車:注意現示5時28分36秒・到着5時41分13秒・発車5時41分46秒

29運行051列車:注意現示5時43分05秒・到着5時47分45秒・発車5時48分12秒

19運行053列車:注意現示5時49分33秒・到着5時53分46秒・発車5時54分18秒

20運行053列車:注意現示5時55分39秒・到着6時01分46秒・発車6時02分17秒

 

 データを取り終わった段階で時計と時刻の照合を行う.手元の時計で6時16分丁度の時点で時報も6時16分丁度を示したので今回はデータをそのまま採用する.

 

3.データの検討

3.1.予備知識

 池上線の運行図表では10秒刻みで時刻が記載されていることは既知とする.旅客向け時刻表に落とし込む際,発車時刻については秒単位を切捨て,到着時刻については10・20秒を切捨て,30・40・50秒は1分に切上げる.

3.2.始発列車

 5列車全て時刻表記載の分表示と一致した.従って18運行052列車は5時00分丁度,1運行062列車は6時02分丁度発と分かる.両列車とも発車時刻の16~18秒前に出発信号機が開通していることから7運行052列車については5時32分30秒発と考えてよいだろう.一方19運行051列車は5時00分丁度発または10秒発と考えられ,出発信号機の開通は発車15秒または25秒前となっている.これにより28運行061列車の発車時刻も6時07分20秒または30秒のどちらかと考えられる.

 

 今回は始発列車の検討に留める.理由は以下に述べる通りである.

 

4.余談

4.1.データを取るときの心構え

 当然の話だが,再開扉を行った時点でタイムロスが発生するので発車時刻は不明となる.他にも定時運行を妨げる要因,例えば混雑や接続待ち,悪天候などは誤った推論の元となるのでこのような事象を認めた時点でその日の調査は諦めた方がよい.平日朝夕の調査であれば年末最終週を狙うとか,休日日中であれば近隣で催事の無い日を選ぶなど,慎重を期したい.始発列車の調査であれば多少の混雑は影響しないが,途中駅で乗降を繰り返すうちに自然と遅れが波及するものである.

 またデータは多ければ多い方がよい.今回のように1回では決めかねるようなデータでも,数をこなすうちに候補が絞られてゆくことがある.

4.2.信号機の開通基準

 進行定位でない出発信号機でも列車到着前に開通させることは多々あるが,そのタイミングは列車ごとにまちまちである.くれぐれも「この列車の発車何秒前に開通したから他の列車も同様」などといった推定をしないようにしたい.現に今回も上り列車で開通時の現示が進行だったり注意だったりしている.先行列車の発車から63秒~72秒の内に注意現示となるというのは発車時刻に関係なく開通させていることの証左である.

 

 今回はここまで.次回は始発列車と発車合図の関わりを述べる.

*1:「7運行」が正しいがインデント機能が無いので「07運行」と書くことにする.